
函館の街角で赤と白の小さな電車に出会ったら、その旅は少しだけ大正時代に近づきます。
函館といえば、坂道の向こうに見える港、異国情緒の残る建物、朝市に並ぶ海の幸。そして、街の景色にすっと溶け込む路面電車を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。そんな函館のまちを、春から秋にかけてゆっくり走る特別な電車があります。名前は「箱館ハイカラ號」。大正時代からこの街を走る、少し不思議で愛らしいチンチン電車です。
函館の街を走るハイカラ路面電車

「箱館ハイカラ號(はこだてはいからごう)」は、例年春から秋にかけて運行される函館市の路面電車。2026年は、6月6日から10月12日までの期間、函館市内を走ります。運行日は土日祝が中心で、五稜郭公園前から函館どつく前までの区間を1日2便走ります。
赤と白のレトロな車体は、函館の街並みによく似合います。十字街を過ぎ、港の気配が近づいてくるあたりでこの電車を見かけると、誰もが思わず足を止めたくなるはず! 観光客にとっては旅の思い出に、市民にとっては季節の訪れを感じさせてくれる存在として親しまれています。
箱館ハイカラ號の歴史は古く、もともとは1918年から旅客車として使われていました。その後、冬の函館で雪をはらう「ササラ電車」として半世紀にわたり活躍。1993年に観光電車として復元され、いまも明治・大正時代の面影を残す車両として走り続けています。
車内で味わう、昔ながらの旅情
ハイカラ號の運転台はオープンデッキ式で、窓ガラスがありません。風がそのまま吹き抜けるため、雨の日や風の強い日には、運転士さんがカッパを着て運転します。函館の風を正面から受けながら走るその姿は、便利さとは別のところにある格好よさ!
車内は木目を基調とした温かみのある造りで、座席にはベルベットの布地が使われています。少し重みのあるシートに腰を下ろし、窓の外を流れる街並みを眺めていると、ただの移動時間が旅の一場面に変わっていきます。映画のワンシーンというと大げさかもしれませんが、ほんの少し背筋を伸ばして座りたくなるような雰囲気があります。
旅の思い出をくれる、レトロな制服の車掌さん
箱館ハイカラ號には、いまでは珍しくなった専属の車掌さんが添乗しています。乗車すると、切符の代わりに記念乗車証を受け取ることができます。手元に残る小さな紙片ですが、これ以上ない旅の思い出になります。
乗るだけでなく、街を走る姿を写真に収めるのもおすすめ。特に二十間坂や基坂の周辺では、函館港や洋館を背景に、函館らしい一枚を狙うことができます。坂の途中でカメラを構え、遠くから近づいてくる赤白の車体を待つ時間もまた、函館の旅の楽しみのひとつです。
箱館の街では、ハイカラ號は、単なる交通手段ではありません。街の歴史や空気を味わえる、乗れる文化財のような存在です。函館を訪れるなら、目的地へ急ぐだけでは少しもったいない。たまには電車の揺れに身を任せて、街のほうから旅を進めてもらうのもいいものです。
今度の函館旅では、ぜひスマホではなく、フィルムカメラを片手に、ハイカラ號が走る時間に合わせて街へ出かけてみてください。現像した写真の中に、ふっと昔の函館が顔を出すかもしれません。
DATA
箱館ハイカラ號
●運行期間:2026年6月6日(土)~10月12日(月・祝)
※土日祝中心に運行
●運行区間:五稜郭公園前~函館どつく前(1日2運行)
●乗降可能停留場:
五稜郭公園前・松風町・函館駅前・十字街・末広町・函館どつく前
●料金:
2kmまで 大人630円 小児320円
4kmまで 大人650円 小児330円
7kmまで 大人670円 小児340円
※完全事前予約によるご購入となり、スマホ乗車券でのご利用となります。
なお、決済方法は、クレジットカード決済のみとなります。




































