
2025年11月28日、群馬県・みなかみ町は、埼玉県さいたま市・大宮の「まちラボおおみや」で、「みなかみ町情報交換会」実施した。
この情報交換会では、同町と友好都市関係にあるさいたま市が会場を提供、同じく大宮にあるシティプロモーション施設「まるまるひがしにほん」で開催された「みなかみ冬の味覚展」の試食会や、これからシーズンを迎えるみなかみ町のスキー場情報などを公開した。
“日本唯一駐台公務員”が語る、みなかみと台南市との熱い交流
今回の情報交換会の目玉のひとつが、2025年11月20日に、台湾・台南市議会永華会議場において交わされた、みなかみ町と台南市の、従来より一層深いパートナー関係に入る友好交流協定への正式署名。みなかみ町町議会は、台湾・台南市市議会と長年友好交流を重ねてきた。
みなかみ町の阿部真行課長補佐は、みなかみ町の職員でありながら、日本で唯一、台湾の地方政府(台南市政府)に長期派遣された、駐台経験を持つ公務員として知られている。2013年頃から約9年間にわたり台南に派遣され、現地政府の役職を持ちながら交流事業を継続。みなかみ町を「東京から一番近い雪国秘境」としてプロモーションし、台湾からの観光客誘致に貢献した。

みなかみ町の中学生を台南市に派遣する交流事業などを企画・推進し、議会レベルの交流(みなかみ町議会と台南市議会の友好交流協定締結)など、両地域の関係深化に尽力した。 交流開始当時の台南市長であった頼清徳(らいせいとく)台湾総統とも個人的な交流を深めるなど、台湾政界に広いネットワークを持っている。阿部さんの活動は、日本の自治体と台湾の地方政府間の連携を深める上で、非常に珍しく、重要な成功事例として注目されている。今回の協定締結について以下のように語った。
「新聞などにも非常に大きくとりあげていただきました。みなかみ町は台南市においては本当に国賓級の扱いをされているという、ちょっと珍しい都市でもあります。
みなかみ町は、このさいたま市さんのように、国内でも友好交流している都市があるのですが、海外では台北ではなく、台南市と交流をしております。台南市の予算で群馬県の新聞社さんから書籍を出版したり、色々取り組みをしてきました。
来月には、みなかみ町の中学生を台南市に派遣して、交流事業、向こうの中学生と交流をしてきます。今年は28名の中学生が向かう予定になっています」
また、台南市の黄偉哲(こう いてつ)市長は以下のように語っている。
「頼清徳総統が台南市長時代に始まった友情を嬉しく思います。市政府から議会に至るまで、より包括的な交流をしてきました。公務員派遣を行ったのも日台では、みなかみ町が唯一です」


みなかみ町の冬の味覚を、友好都市さいたま市で堪能できる物産展
情報交換会では、11月29日・30日の2日間。大宮の「まるまる東日本連携センター」で開催された「みなかみ冬の味覚展 埼玉」の試食も行われた。
この味覚展は、農産物・特産品として、地元みなかみ町産のりんご(数量限定・特価。例:ぐんま名月などの品種も販売予定)、きのこ(椎茸やきのこセット)、きのこ汁など、旬の農産物、地元銘菓や果実加工品などの特産品を販売。情報交換会では、その一部を一足先に味わうことができた。






数え上げたらきりがないみなかみ町の魅力
みなかみ町のブランドシンボルは、谷川岳の東面にある岩場「一ノ倉沢」。谷川岳の山腹を深くV字型に切り込んだ谷で、両側は切り立った大岩壁(衝立岩、烏帽子岩など)に囲まれている。その岩壁は雪解け水や雨水によって滝のように流れ落ちることもあり、四季折々に壮大な景観を見せる。アクセス路の終点付近からその巨大な岩壁全体を見上げることができる。
一ノ倉沢の岩壁は、その規模と険しさから、世界的にも有数の大岩壁として知られていて、岩壁の高さは標高差で約1000mにも達し、非常に巨大。東京スカイツリーの高さ(634m)を上回るほどの高低差がある。
みなかみ町の面積は780平方kmで、東京23区よりも広い。人口は約1万6000人で、年間観光客数は約266万人。利根川の源流があり、八木沢ダムをはじめ大小7つのダムを有する。みなかみの水は、武蔵水道や朝霞浄水場を経て、さいたま市や首都圏の重要な水源となっている。
群馬県内最多となる18の温泉地(温泉頭)があり、法師温泉(今年9月に創業150周年、国登録有形文化財)や宝川温泉などの一軒宿が有名。また、7つのスキー場があり、犬ぞり、スノーモービル、エアスノーラフティングなど、多彩なアクティビティが楽しめる。
雪解け水を利用したラフティングなどのウォーターアクティビティが盛んで、利根川は国際基準で最大グレード5の激流が楽しめる。フルーツ狩り(ほぼ通年)、手作り体験工房が集まる「匠の里」、2ヵ所のバンジージャンプスポット(諏訪峡・猿ヶ京)も人気だ。
みなかみ町は、2017年6月にユネスコの「生物圏保存地域(Biosphere Reserves:BR、通称「ユネスコエコパーク」に登録された。ユネスコエコパークは、「人類と生物圏」計画(Man and the Biosphere:MAB)に基づいてユネスコが認定する地域。自然遺産や世界遺産が「手つかずの自然を保全すること」を主目的とするのに対し、エコパークは「自然と人間社会との共存」を重視している。
みなかみ町は、このエコパークの理念に基づき、「自然を活かして広める」ことを重視している。首都圏の水源地であり、利根川の源流であること、そして谷川岳などの多様な生態系を有することを、地域振興に結びつけている。エコパークの価値を体感できる施設(温泉街再生プロジェクトなど)の建設や、環境教育、エコツーリズムの推進などを行っている。
みなかみ町は、日本のほぼ中央に位置するその地理的特性から、非常に多様で貴重な生態系を持っている。生態系の頂点に立つ猛禽類であるイヌワシ(北方系)とクマタカ(南方系)が同じ地域で共存しているという、世界的にも珍しい特徴を持っている。上越新幹線の上毛高原駅の裏手には、ゲンジボタルとヘイケボタルが同時に見られる景勝地があり、6月下旬には両種が舞い踊る「源平合戦」のような光景が見られることもある。
このほかにも、廃業した旅館などをリノベーションし、新しい宿泊棟や温浴施設を創るプロジェクトが進行中。また、利用客からの支援を募り、谷川岳山頂の老朽化したトイレの改修を目指している。







この情報交換会には、みなかみ町の阿部賢一町長も同席。
「みなかみには、多くのスキー場がありますので、冬は様々なウィンタースポーツを楽しみに来ていただきたいと思います。また、雪見露天風呂という、日本人の忘れた原点の心を取り戻すような本当に風流な露天風呂もありますので、そこで疲れを癒していただきたい。
みなかみ町は観光の街として、一生懸命皆様方をお迎えする準備をしていますので、お越しいただけることを心からお願い申し上げます」
と、熱い思いを語り、会を締めくくった。































