長らく私にとって「盆栽」は謎の趣味だった。盆栽について私の持っている知識と言えば、『サザエさん』のお父さんである磯野波平さんの趣味、というくらいだ。ニュースなどで知りえた上滑りの情報で言えば、最近では日本人よりも、むしろ「BONSAI」として、外国の方に人気が高いのではないかという印象すらある。
ちなみに日本の代表的お父さん像である磯野波平さんの年齢は54歳だそうだが、かくいう私は、すでに波平さんの年齢を超えてしまっている。盆栽のなんたるかも知らずに、日本人として、いや、大人のお父さんとしてこれでいいのか!?──。
そんな焦燥にも似た感情を抱きつつ私が向かったのは、埼玉県さいたま市北区にある「さいたま市大宮盆栽美術館」(以下、大宮盆栽美術館)。
こう言ってはなんだが「盆栽」よ、君にはいろいろと聞きたいことがある。せっかくだし、この大宮盆栽美術館で、積年の私の疑問をすべて解決してもらおうではないか。
今回の取材に当たり、私が用意した疑問は以下だ。
●盆栽ってピンキリだけど、何がスゴイとどうイイのか? 値段はどうやって決まっているのか?
●そもそも、盆栽の見方が分からない
●庭にある盆栽と部屋に飾ってある盆栽は何が違うのか?
●茶道や華道のような流派があったりするんだろうか?
●盆栽とはいつからある趣味なのか? その歴史は?
●なぜ磯野波平の趣味は盆栽なのか?
●茶道の千利休、俳句の小林一茶、自分は嗜まなくても誰もが知るその道の有名人と言われる人がいてもおかしくないのに、なぜ盆栽にはそういったアイコニックな人物が存在しないのか?
●絵画には誰でも知っている名画があるし、陶芸でも有田焼や九谷焼といった有名な産地ブランドがある。盆栽にも同様に名作や有名ブランドのようなものがあるのか?
こうして改めて疑問を並べてみると、私は盆栽について何一つ知らないということを再認識せざるを得ないが、通常の取材であれば、こうした基礎知識的なことはあらかじめ下調べして当たるものだ。だが、今回はあえて何も調べず、頭に「?」だけを携えて向かおうと思う。得てしてこうした場所を初めて訪れる人の主な目的は、知識欲や探究心の充足なのだ。もちろんすでに盆栽が大好きで、まだ見ぬ作品を一目見ようと訪れるクロートさんもいらっしゃるだろうが、この記事は私と同じく盆栽シロートで、「結局のところ、盆栽って何が楽しいの?」という今回用意した最後の疑問の答えを探している方に向けて記していきたいと思っている。そして、この最後の疑問には、どうにか自分で答えを見つけられるような取材をしたいと思ったのだ。
日本人なら「盆栽」という言葉を知らないという人はそれほど多くないだろう。しかし、それと同時に、盆栽に詳しいという人が私の周囲にほぼいないのも事実だ。そんな私と似た境遇の方であればきっと、この記事が、この最後の疑問の答えを見つけるヒントになるかもしれない。
聖地と呼ばれる地にある「大宮盆栽美術館」
そんな、下調べをしてこなかった取材の言い訳を考えながら電車にゆられ、私はさいたま市大宮盆栽美術館を訪ねるべくJR宇都宮線の土呂駅に降り立った。
この近隣に、かつて盆栽村と呼ばれた、碁盤の目のように区画された町に多くの盆栽園があった地区があり、数は少なくなってしまったが、今でも複数の盆栽園がある一帯が盆栽町として残り、大宮が盆栽の聖地と呼ばれる所以になっている。大宮盆栽美術館は、この土呂駅から徒歩5分ほどの場所にある。
美術館入口のドアをくぐると、すぐ正面に「季節の一鉢」という展示がある。あとから聞いた話だが、来場者を最初に迎えるこの一鉢は、その時期・季節にあったものが選ばれて展示されるそうで、1週間に一度のペースで入れ替わり、訪れるたびに違う盆栽が出迎えてくれる。
私が取材に訪れた日にはちょうど企画展として、日本盆栽作家協会の「第32回 作家展」が開催されていて、この鉢も協会の作家さんの作品だそう。しかしながら、ここを訪れたばかりの私には、この作品がどのくらいすごいものなのかまだ全然ぴんと来ていない。まあ、美しいなということくらいは分かるのだが、帰り際にはまた違った趣を感じ取れるようになっているのだろうか。
この日、館内を案内してくれたのは、大宮盆栽美術館の学芸員である田口文哉さん。日本大学大学院芸術学研究科の講師として、大学で教鞭を取ることもあるそうだ。
──とても興味があるのですが、盆栽に関する知識としては波平さんの趣味、というくらいしか持っていないドシロートです。今日はいろいろ教えてください。
田口「せっかくですから、館内をご案内しながらご説明しましょう」
そう言って田口さんと共に向かったのは本美術館の観覧コース。
大宮盆栽美術館には大きく分けて6つのエリアがあり、まずはじめに入口を入ってすぐ、先ほどの「季節の一鉢」が飾られていた「ロビー」。ここには、観覧受付や、ちょっとしたお土産品などが買えるミュージアムショップがある。
続いて「プロローグ」と題されたパネル展示コーナー。ここでは盆栽の鑑賞法など基礎的な知識がパネル展示して説明されている。
それに続く長い通路は、本館のメイン展示会場のひとつ「コレクションギャラリー」となっていて、季節に合わせた作品展示や企画展作品の展示が行われている。
ここからルートは一旦中庭となる「盆栽庭園」に出て、左手にある「企画展示室」へ。ここでは、盆栽に関する歴史展や美術展などが開催されている。
室内展示を観覧し終えたら、本館のもうひとつの作品展示場「盆栽庭園」へ。こちらは外置きの鉢が広い庭園内に約60点も展示され、園内を自由に観覧できる。
また、ロビーの2階は庭園を一望できるテラスと講座室があり、講座室では盆栽の鑑賞法や歴史を学べる講義や、技術解説を受けながら盆栽づくりを学べる体験実習などが行われている。
盆栽ってピンキリだけど、何がスゴイとどうイイの?
盆栽に関する、私の一番の謎はその価値に関するものだ。年末などに芸能人がお高い盆栽とぼちぼちな盆栽を見た目で判別するというバラエティ番組の企画があったりするが、あれはカメラ越しだから私には分からないのだろうか? 1億円の盆栽とホームセンターの園芸コーナーで売られている数千円の盆栽は何が違うのか? その値段はどのようにして決まっているのか?
というわけで、早速、田口さんに最初の疑問をぶつけてみる。
──早速ですが、一番最初に一番下世話な質問なんですけど、盆栽ってものすごくお高いものから、かなりリーズナブルなものまでありますが、その価値というのはどうやって決まってるんですか?
田口「そうですね。盆栽の価値はいろいろ複合的な要素が絡み合って決まるんですが、分かりやすいところから言うと、まず”樹齢”が挙げられます。樹齢1000年など、長く生きている樹ほど希少性が高いですからね」
──まず歴史なんですね。
田口「もちろん、古い樹ならなんでもいいというわけではないんです。貴重な品種であるということもひとつですし、盆栽として仕立てられてきた歴史というのも加味されます」
──ああ、なるほど。樹として生きてきた樹齢に加えて、盆栽として育てられた歴史はまた別の基準ということなんですね。山の中で1000年、人の手で育てられて100年みたいな。
田口「そうなんです。園芸店で売られているものは、畑で苗木から人が育てたものなので、比較的リーズナブルに手に入れることができますが、”山採り”と言って、何年もの間山で育ってきた樹を人が取り上げ、盆栽として活着させた”山採り盆栽”は、やはり希少性が高く、貴重品として扱われます」
──養殖と天然物の魚みたいですね。
田口「そして、盆栽の歴史としてのもうひとつの重要な要素が、”来歴”といって、誰が手入れをしてきた鉢なのか、ということなんです」
──誰がその盆栽を持っていたのかが大事、ということですか?
田口「そうです。これまできちんと管理されて育てられてきたものなのか、著名な方に愛された盆栽なのか、といったこともその価値を決める要素になります。また、コンテストなどでの受賞歴というのもあります」
──絵画などだと、所有者がキャンバスに裏書きしたりしますが、似たような感じですか?
田口「割りと近いですが、盆栽には誰それが所有したといった鑑定書や証明書みたいなものはないんです。基本的に口伝で、その歴史が追えるということが重要なんです」
──ということは、途中で、例えばまったく盆栽の手入れの仕方が分からない私みたいな人間が所有することになってしまったら、それで価値が落ちちゃうってことなんですか?
田口「そうなることもありえますね。それは初心者の方が所有したから、という直接的な理由ではなく、きちんと手入れができず、形やバランスが崩れたり、生命力が弱くなってしまったりすれば、今高い価値を持っている鉢でもその価値は落ちてしまいます。歴史を重ねるごとに価値が上がり、育てる人や育った形によっても価値が変わる、それが、盆栽が”生きた芸術”と言われる所以なんです」
──なるほど。面白いですね。私はてっきり、盆栽のオークションみたいなものがあって、その鉢を欲しいと言った人がいくらで落札したというような、絵画のような方式で値段が決まっているのかと思ってました。
田口「もちろん、歴史だけですべてが決まるわけではなくて、盆栽としての素晴らしさがあることが重要で、多くの人を惹きつける魅力を持っていることが大切になります」
そもそも、盆栽の見方が分からない
とはいえ、初心者には肝心のその魅力の見分け方が分からない。そもそもの正しい鑑賞法さえ分からないのだ。確かにパッと見ただけで、美しいな、素敵だな、とは思う。しかし、そんな感覚的な見方で良いものなのか?
──その魅力の見分け方、盆栽の正しい鑑賞法というものがあるんでしょうか? アート作品のように、印象的に好きだな、素敵だな、と思えればそれで良いという感じですか?
田口「ではこちらのパネルの写真を使ってご説明しましょう。こちらは大宮盆栽美術館が所蔵する盆栽のなかで、もっとも高価な鉢の一つで”日暮し”という五葉松の写真です」
──パネルでですか。ホンモノは見られないんですか?
田口「こちらの鉢は、普段は展示されていないんです。実物を見られるのは、1年のうち、特別な何日かだけになりますね」
──どこかの仏像の御開帳みたいですね。
田口「そうですね(笑)。目玉展示の一つということで、この鉢が見られる日だからと、わざわざ来られる愛好家の方もいらっしゃいます」
大宮盆栽美術館のコレクションは多く、季節に合った展示が心がけられ、すべてが常設で見られるわけではないのだとか。現在、どの盆栽が公開されているかは、ホームページのコレクションページで確認できる。お目当ての盆栽があるのであれば、事前にチェックしてから行くといいだろう。
田口「では盆栽の基本的な鑑賞の仕方ですが、まず、盆栽には表と裏があります。どちらが表か裏か分かりますか?」
──表・裏ですか。まったくわかりません(キッパリ)。
田口「盆栽を見るには、3つのポイントがあります。一つはどっしりした幹のフォルムです。この幹がちゃんと見えるのが表で、幹を鑑賞するために、手前に枝がこないように手入れされているんです」
──確かに! 幹の前には枝がないですね。
田口「逆に、幹の後ろ側には、奥行きを出すように枝が伸びています。これが裏になります。そして表と裏を確認するもうひとつのポイントは、横から見てみることです。横からよく見ると、表に向かってお辞儀をするように、枝ぶりが前かがりに整えられているんです。盆栽は、床の間などに飾って客人をもてなすためのものでもあるので、こうして頭を垂れてお迎えしているわけです」
──ほんとだ! だんだん、わかった気になってきました。でも、幹が複数ある盆栽もありますよね? こう根本から枝分かれしたみたいなものとか。
田口「その場合は、メインになる1本を決めて、そのメインの幹をいかに引き立たせるかというように育てていくわけです」
──あー、アイドルグループのセンター的な感じなんですね。分かりました。では、次のポイントお願いします。
田口「次のポイントは根の張り具合です。根はその盆栽の生命力の象徴で、狭い盆器の中で必死に根を張ろうとして、それが地上に隆起して現れたものは”根張り”と呼ばれます。これが四方八方に伸びた形を”八方根張り”と言って、しっかり土をつかんだ理想的な根張りとされています」
──そういえば、盆栽の土って、なんかもこもこしてますね。こうして根が盛り上がっているのがいいんですね。
田口「最後の一つは、枝ぶりと葉の美しいバランスです。先ほども申し上げたように、盆栽には表と裏があり、表から見たときに、理想的に見えるように形を整えていきます」
──その盆栽の剪定には、流儀というか決められた型みたいなものがあるんですか?
田口「そうですね。それが樹形と呼ばれるもので、いくつかの形に分類されます。よく見るオーソドックスな樹形は、根本からまっすぐ天に向かって幹が伸びている”直幹(ちょっかん)”、幹に変化のある”模様木(もようぎ)”といったものです」
──なるほど、分かりました。どっしりした幹、しっかりした根、美しい枝ぶりと葉ですね。覚えました。
ところで、こちらのパネルには”盆器”の解説がありますが、どんな鉢に植えられているかはお値段と関係はないんですか?
田口「もちろん、盆器もその盆栽に見合ったものを選ぶ必要がありますが、盆器には盆器でまた歴史があって、例えば中国の古い時代の鉢などは、それ自体に大変な価値があったりします。しかも、古いものだと壊れてしまうかもしれない。ですから、すごく立派な盆栽と言えども、ものすごく希少な盆器が使われるというわけではないんです。希少な盆器は、盆栽としてではなく、盆器そのものが価値ある美術品として扱われることが多いんです」
──もう一つついでに、その隣に”水石”というものを解説したパネルがありますね。これはなんですか?
田口「”山水景石”といって、山や川などの自然を感じさせてくれる石を、盆栽のように鑑賞するための美術品のことです。”山水”はご存知ですよね。お寺などにある、水の流れを砂利で表現して、石や樹木などで自然の景観を表現した庭園のことです。盆栽や水石は、あの山水を盆の中に収めたものなんです」
──要するに、盆栽というのは、お盆の中に作ったミニチュアの景色を楽しむ趣味ということですか?
田口「その通りです! ですから、盆栽の樹形は、自然に生える樹木の様子を再現するように仕立てられるものが多いんです。そして、もうひとつ覚えておいていただきたいのが、”盆栽は正面の下から見る”、ということ。小さな鉢などは上から見下ろしてしまいがちなんですが、下から覗き込むように見上げることで、まるでその樹がそそり立つ山にいるような視点で鑑賞することができるんです」
──なるほど~! 面白いですね。ミニチュアづくりと聞くと、プラモデルやジオラマづくりの経験者なら途端に親近感が湧きますね。
田口さんがあまりに淀みなくこちらの質問に答えていただけるものだから、あれやこれやと矢継ぎ早に質問してしまったが、実はこれ、まだ観覧コースに入ってすぐの「プロローグ」での解説。ここまでですでに取材時間は30分を有に超えてしまっている。先を急がねば。
なんか聞いてたのと違うんですが……
それではここまでに仕入れた知識を生かして、実際に展示されている盆栽を見ていこう。ということで次のコーナー「コレクションギャラリー」へ。そこでまず目に飛び込んできたのがこちらの鉢。
──……あれ? なんか聞いてたのと違うんですが……。田口さん、どっしりした幹は?
田口「そうですね(笑)。こちらは一般にイメージされる盆栽とはちょっと違うかも知れません。こちらは”文人木”という樹形で、細い幹の曲がり方などに風情や趣を感じさせ、上のほうにだけ枝葉を残した盆栽をいいます。明治時代の文人が好んだ樹形ということから、”文人木”と呼ばれるようになりました」
──な、なるほど。これも樹形のひとつなんですね。奥が深いですね。しかし、こうなると、さっきの盆栽の鑑賞の仕方とかあんまり役に立たない気がしないでもないですね……。幹なんかどっちからも丸見えだし。
まあ、気を取り直して次の鉢を見せていただこうかな。
……あれ? 田口さん、またなんか思ってたのと違うんですが……。
田口「(笑)。こちらもまた別の樹形で、”懸崖(けんがい)”と言います。切り立った崖から垂れ下がって生えている樹をイメージして仕立てたものです」
──ちょっとなんか、初心者にはハードル高くないですか、この展示順!?
田口「そうですね(笑)。今はちょうど作家展が開催されていますので、こちらのギャラリーには、その作家協会の方たちが作品として仕立ててある盆栽が展示されているんです」
──なるほど。たまたまそういう日だったんですね。ところで、こちらの美術館に来られる方というのは、私のような初心者と、もう盆栽好きで好きでちょっといい盆栽見たいぞと思って来られる方と、どのくらいの割合なんでしょう?
田口「割合で言ったら断然、前者の方のほうが多いですね」
──それでこの並びですか……。結構今はチャレンジングな展示になってるんですね。でも、普段は田口さんのような学芸員さんが解説してくださるわけじゃないんですよね?
田口「そうですね。まったく盆栽を見るのが初めてという方だと、今の展示はちょっとハードルが高いかも知れません。ですが、日によっては、ボランティアで説明員として協力してくださるミュージアム・サポーターの方がいらっしゃる日もあります。今日もいらっしゃいますよ」
盆栽美術館に行くなら月曜日がおすすめ!
ということで、ここでミュージアム・サポーターとしてボランティアをされている白井さんのお話を伺うことに。
──白井さんは、普段は何をされているんですか?
白井「普通のサラリーマンをしています。ぶっちゃけて言うと、今日も実は夜勤明けでこちらのお手伝いに来ています(笑)」
──夜勤明け!? そんなに楽しいんですか、こちらのボランティアは(笑)。ボランティア歴はどのくらいでいらっしゃるんですか?
白井「ちょうど10年くらいになります。こちらにお手伝いに来ていないときでも、家で自分の盆栽をいじっているだけなので、こちらに来ればいろいろ勉強もできますし、先輩ボランティアの方たちや来場者の方と盆栽の話ができますので(笑)。少しでも盆栽を普及させたいという思いもありますし」
──お好きなんですねー。そもそも白井さんが盆栽にハマったきっかけというのはなんだったんですか?
白井「20年くらい前になりますが、会社の上司と一緒に企画した展示会のステージの演台に、盆栽協会の方にお願いしてお借りした盆栽を飾ったんです。その飾られた盆栽を見て、これはスゴイぞ、スゴイ世界があるぞと。もう一目惚れみたいな感じでしたね。それからしばらくして、盆栽の作り方を教えてくれるワークショップみたいなものがあるというチラシを見て、試しに参加しまして。そこで自分の鉢を手に入れてからはもうズブズブにハマってしまいましたね(笑)」
──そんな白井さんにとって、盆栽の楽しさってどんなところですか?
白井「もともと絵を描いたり、美術品を眺めたりするのは好きだったんですが、盆栽はやっぱり生きていて、それを育てることが芸術に結びついているってところでしょうか。数年後にはまた違う形になっていきますし、将来こうしたい、ああしたいと想像してウキウキできるのがいいですね」
大宮盆栽美術館では、毎週月曜日に、ミュージアム・サポーターによる展示ツアーガイド「ウェルカム・マンデー」が行われている。断言するが、盆栽初心者が大宮盆栽美術館を訪れるなら、断然月曜日をおすすめしたい。こうした解説を聞きながら館内を回るのと、その良さを分からずに見て回るのとではまったく楽しさが違うと言っていい。ちなみにミュージアム・サポーターはボランティアスタッフなので、月曜日と言えども人員が揃わず展示ツアーガイドが開催されない日もあるとのこと。心配なら、事前に確認してから訪れるといいだろう。
──後編「磯野波平の趣味はなぜ盆栽なのか」の巻へつづく
さいたま市大宮盆栽美術館
埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
開館時間:
(3月~10月)午前9時~午後4時30分 ※入館は午後4時まで
(11月~2月)午前9時~午後4時 ※入館は午後3時30分まで
休館日:木曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、臨時休館日あり
観覧料:
一般 310円(200円)
高大生・65歳以上 150円(100円)/ 小中学生 100円(50円)
※障害者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名は半額
※( )内は20名以上の団体料金
年間パスポート:
一般 1,040円/高大生・65歳以上 520円/小中学生 310円