北陸新幹線で東京駅から約90分、戦国武将の真田氏ゆかりの地として知られる長野県上田市。市内中央を千曲川が貫き、南北に美ヶ原高原と菅平高原を擁する豊かな自然に恵まれた街です。信州最古の温泉とされる別所温泉や鹿教湯(かけゆ)温泉などの温泉地やスキー場もそろい、冬にはスキー客などが訪れましたが、気温が上がるこれからの季節は、登山客などでにぎわいます。
そこで今回は、ツツジやキンポウゲ、コケモモなどの高山植物が順次見ごろを迎える新緑シーズンに歩きたい、登山やトレッキングにおすすめのスポットをご紹介。市内には避暑地として有名な「美ヶ原高原」(写真)のほか、菅平高原の「根子岳」「四阿山(あずまやさん)」、上田のシンボル的な山「太郎山」など、特徴的で眺めのよい山や高原がそろっています。日常を離れ、雄大な自然を全身で享受しながら美しい山々を歩けば、心と体がリフレッシュできること請け合いです。
大人も子どもも気軽に楽しめる登山コースが整備された里山
上田市街地の北側に位置し、上田駅から歩いて向かう登山客もいる「太郎山」。草地になった山頂などから上田盆地を見渡せる標高1164mの里山には、片道1時間程度の登山コースがいくつも整備され、老若男女を問わず気軽に歩ける登山スポットとして親しまれています。毎年ゴールデンウィークに開催される都市型登山競争のコースになっていることや、春や秋に山の稜線を超えて雲が流れ落ちる“逆さ霧”(写真下)が見られることでも有名ですが、春から夏にかけてはヤマツツジが見ごろを迎え、登山客の目を楽しませてくれます。
太郎山
DATA
住所:長野県上田市常盤城
電話:0268-71-6074(信州上田観光協会)
https://ueda-kanko.or.jp/blog/special_taroyama/
高山植物や放牧を楽しめる初心者向けのトレッキングコースが人気
標高2000mに位置する日本一広い高原大地として知られ、緑あふれる屋外展示場に約250点の現代彫刻が並ぶ美ヶ原高原美術館(写真下)も人気の「美ヶ原高原」。富士山や八ヶ岳などを一望する360度の大パノラマが広がる山上には、美術館から出発し、牛の放牧や美しい高山植物などを眺めながら歩く美ヶ原パノラマコースや、標高2034mの山頂・王ヶ頭(おうがとう)を目指すアルプス展望コースなど、トレッキング初心者にもやさしい散策コースが複数そろっています。夏休み期間の週末には、上田駅から美ヶ原高原までの直行バスも運行予定。
美ヶ原高原
DATA
住所:長野県上田市武石
電話:0268-85-2828(武石観光協会)、0268-86-2331(美ヶ原高原美術館)
https://www.takeshikanko.com/ustukushigahara
https://www.utsukushi-oam.jp/
2つ並んだ名山をはしごして花や大パノラマの絶景を堪能
天然の芝生に覆われたのどかな風景がスイスの牧場地帯に似ていることから、“日本のダボス”とも呼ばれる菅平高原。標高1300mの高原の後方に仲良く並んだ「根子岳」「四阿山」という2つの山には、初心者でも登りやすいなだらかな登山コースが整備されています。例年6月になるとレンゲツツジが見ごろを迎える“花の百名山”根子岳は、華やかな高山植物などを愛でながらの優雅なトレッキングが楽しめるほか、標高2354mの山頂から北アルプスなどを見渡す絶景が魅力の“日本の百名山”四阿山との縦走コースも人気があります。
根子岳/四阿山(あずまやさん)
DATA
住所:長野県上田市菅平高原
電話:0268-74-2003(菅平高原観光協会)
https://sugadaira.com/
上田市の名物グルメと言えば、文化庁の100年フードにも指定される「美味(おい)だれ焼き鳥」や、酢で溶いた辛子をかけて食べる「あんかけ焼きそば」が有名ですが、新緑シーズンに市内を訪れたなら、おすすめしたいのが「つけば小屋」で味わう川魚です。千曲川では毎年5月頃から「つけば漁」と呼ばれる伝統漁法でウグイ(ハヤ)を獲る文化があり、河川敷に建つ「つけば小屋」で塩焼きなどを食べることができます。昔と比べて小屋の数は減っていますが、6月末頃まで今も楽しむことができるので、一度体験してみては?
- 花の見ごろなどは例年の目安です。詳しくは、お出かけ前にご確認ください。