岩手県の伝統行事「チャグチャグ馬コ」が、存続の危機を迎えている。
「チャグチャグ馬コ」は、華やかな装束を着飾った農用馬が、滝沢市の鬼越蒼前神社から盛岡市の盛岡八幡宮までのおよそ14kmの道のりを行進する岩手県の伝統行事だ。
昭和53年には文化庁の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選定、平成8年には環境庁(当時)の「残したい日本の音風景100選」に選出された。
後継者不足と飼育負担が課題に
近年では2023年に22万3000人の観客を集めるほどの人気となっているが、参加する装束馬の数は年々減少しており、1990年には102頭だった出馬頭数が、2024年には60頭にまで減っているという。
背景には、農用馬の飼育にかかる費用、馬主の高齢化により大きな負担がかかることに加えて、飼育技術や装束製作技術の継承が難しいといった現状がある。
技術継承に向けた取り組み
こうした課題に対応するため、チャグチャグ馬コ保存会と南部盛岡チャグチャグ馬コ同好会は、飼育者や技術者を支援する活動を展開。講習会を通じて装束製作や馬の扱い技術の普及を図っている。
チャグチャグ馬コ保存会は、行進行事の開催に向けて継続的に活動しており、鬼越蒼前神社や盛岡八幡宮での会場設営や行進ルートの設定、さらに参加馬の確保や支援などを通じ、140年以上にわたる伝統を未来に残そうとしている。
また、12月11日よりクラウドファンディングを開始し、資金を募っている。集まった支援金は馬主への奨励金や新たな農用馬購入の補助に充てられる予定だ。
チャグチャグ馬コを未来に残すクラウドファンディングを開始!
クラウドファンディングは、2025年2月27日まで支援を受け付けており、参加者へのリターンとしてボールペンやバッグ、Tシャツなど、チャグチャグ馬コにちなんだオリジナルグッズが用意されている。
また、装束の技術を使った革小物や、親子で行進行事に参加できる体験型のリターンも予定されている。
140年以上にわたって愛されてきたチャグチャグ馬コの文化を守るために、一人ひとりの支援が大きな力となる。この機会に地域の伝統に触れ、未来をつくる一歩を共に踏み出しては?