
船に乗ったまま、目の前の水位がすーっと下がっていく水のエレベーター。そんな体験ができる街があると聞いたら、ちょっと乗ってみたくなりませんか。富山市は「ガラスの街」でもあり「水の街」でもある、いくつもの顔を持つ場所でした。


つなぐ旅編集部が実際に東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は富山県富山市の旅の様子をお届けします!(グルメ編はこちらから)

大宮から北陸新幹線で約1時間40分、富山駅に到着しました。富山ってもっと遠い印象でした。駅を出るとビルが立ち並ぶ景色が目に入り、都会だ!と思ったら目の前を路面電車が横切り、「ああ、富山に来たんだ」と感動。

「公共交通を軸に、歩いて暮らせるコンパクトシティ」を掲げる富山市では、路面電車がめちゃめちゃ走っています。レトロなデザインの路面電車とモダンな低床車両の路面電車がすれ違う様子は圧巻でした。運行間隔は5〜15分程度、運賃は一律240円なのでまさに市民の足です。
隈研吾建築「TOYAMAキラリ」でガラスの世界へ

富山でもっとも有名な屋内観光スポットといえば、建築家の隈研吾さんが手がけた「TOYAMAキラリ」でしょう。御影石とガラス、アルミを組み合わせたクールすぎる外観は立山連峰をイメージしたそうで、光の反射でキラキラしています。建物内にある「富山市ガラス美術館」では、企画展や常設展で現代グラスアート作品を鑑賞できます。また、「富山市立図書館」も入っていて、美術館の企画展や常設展を見るのでなければ館内は無料でウロウロできます。

2階に上ると、6階までのダイナミックな吹き抜けに圧倒されます。富山県産材のルーバー(羽板)がいく層にも重なり、木の香りに包まれるような不思議な感覚に。自然光が柔らかく入ってきて、それがすっごく素敵なんです。下から見上げるのもいいですが、エスカレーターで6階まで上がって見下ろすのも一興です。

2階には「ミュージアムショップ」があり、こちらがまた素敵でした。ポストカードやクリアファイルなどのオリジナルグッズのほか、ガラスが有名な富山らしく、食器やアクセサリーなど、ガラス作家によるこだわりの商品がたくさん並んでました。どれも欲しくなってけっこう長居してしまった。結局何も買わなかったんですけど、気になったネックレス、買えばよかったな。
2階のカフェ「Cafe小馬 キラリ店」は富山の老舗喫茶店「小馬」の支店だそうです。このときは期間限定で、企画展「Brilliant Color」とコラボしたブルーが美しいノンアルコールカクテル(800円)がありました。

私はアイスウインナーコーヒーに目がないので、「ウインナー珈琲(冷)」(750円)も頂きました。こんなに生クリームがたっぷりのウインナーってある?ってくらいクリームもこもこで幸せでした。
DATA
富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ内)
住所:富山県富山市西町5-1
HP:https://toyama-glass-art-museum.jp/
アクセス:JR富山駅から路面電車で約10分
池田屋安兵衛商店で丸薬作り体験
富山の薬売りの象徴として知られる丸薬「反魂丹(はんごんたん)」を製造販売しているのが富山駅から路面電車で約7分、大通り沿いにある薬屋「池田屋安兵衛商店」です。

店内では当時の製造機を使った丸薬作りの体験ができます。予約不要で無料。
まずはお店の方にお手本を見せてもらいます。生薬を練った生地がニョキニョキ出てくるのをカットし、それを台の上に載せ、板で押さえつけて動かすと、あら不思議、きれいな丸になるんです。板には溝がついているのでそれで成型されるようです。



お手本を見せてもらった後はいよいよ体験タイム。溝がついた板で上から押さえつけて動かすと、きれいな丸になるはず。私もやってみました。板は重くて、力加減が難しい。


板が意外と重くて力加減が難しい。押さえすぎると潰れるし、力が弱いと成型されません。自分にガッカリです。
気を取り直して記念に「越中反魂丹」を買おうっと。飲み過ぎ、食べ過ぎに効くだなんて私にピッタリ。


一見、正露丸のような色ですが、味は「仁丹」。スッキリします。
DATA
池田屋安兵衛商店
住所:富山県富山市堤町通り1-3-5
HP:http://www.hangontan.co.jp/
アクセス:市内電車「西町」下車徒歩約3〜5分
富岩運河環水公園から水上ラインへ

もう1つ、富山に来て外せないのは「富岩運河環水公園」。この日の気温は33度。首都圏と気温はそれほど変わらないはずなのに、富山のほうが暑く感じました。首都圏で外を長時間歩いたり公園に行ったりしないからかもしれません。
スマホの地図アプリに従って歩いたら富山駅から17分ぐらいかかったのですが、公園の中を一周してわかったのは、実は私、駅から一番遠い入り口からから入園していました。目的地を「泉と滝の広場」に指定すると10分かからず入り口にたどり着くので、この方法がおすすめです。あとから、途中で見かけたゴールドジムを左に曲がったら着いたのかと気づいて大ショックでした。
シンボルは、両脇に展望台がある「天門橋」。

園内には「世界一美しい場所にある」とも称されるスターバックスコーヒーがありますが、今回はスルー。なぜならば、13:20発の「富岩水上ライン」に乗って岩瀬エリアに行くんです。岩瀬は明治期の家屋が残る港町で、土蔵や古民家を改装したおしゃれな飲食店があるんですって。楽しみ! しかも、富岩運河環水公園からクルーズ船で行けるんですよ。


岩瀬に行くAコースの運賃は片道2500円。乗車時間は約1時間で、ずっと盛り上げてくれるガイドさん付きです。
パナマ運河方式の“水のエレベーター”
富岩水上ラインの目玉が、国指定重要文化財の「中島閘(こう)門」です。上流側(富岩運河環水公園)と下流側(岩瀬側)の水位差を、扉で仕切った部屋(閘室)の内側の水位を上げたり下げたりして調整する“水のエレベーター”です。学校のプールの約3倍という閘室内に船が入ると前後の門扉が閉じ、水位を変化させて、船ごと上下させる仕組みです。


乗り込んだ船が閘室に入ると門が閉まり、水位がどんどん下がっていきます。岸壁の色がどんどん変わっていくスピードがけっこう速い。この中島閘門の設計に携わった技術者の一人は、かつてパナマ運河の建設にも関わった人物なんだそう。そう聞くと、目の前の景色がいっそう特別なものに見えてきます。
そもそも「富岩運河」という名前は、富山市と岩瀬の頭文字から来ていて、全長は5.1キロ。かつて神通川はこのあたりで大きく蛇行し、毎年のように洪水を起こしていたそうで、その改修工事の過程で生まれたのがこの運河なのだといいます。街を悩ませていた川が、今ではこうして穏やかな観光の舞台になっているのだと思うと、感慨深いものがありました。
ガイドさんの説明を聞きながら左右キョロキョロしている間に約1時間のクルーズもあっというまに終了。岩瀬に到着しました。

DATA
富岩水上ライン(富岩運河環水公園)
住所:富山県富山市湊入船町1(富岩運河環水公園内)
HP:https://fugan-suijo-line.jp/
アクセス:JR富山駅から徒歩約9分(乗り場までは徒歩約13分)
北前船の面影が残る岩瀬エリアの古民家で味わうクラフトビールと日本酒

船を降りたら、徒歩で岩瀬エリアへ。江戸後期、北前船の寄港地として栄えたこの町には、当時の面影を残す街並みが今も続いています。土蔵づくりの家々が軒を連ねる通りは、平日の昼下がりということもあって静かで、時間の流れ方までゆっくりに感じられました。岩瀬に残る最大規模の住宅が馬場家。北前船で栄えた廻船問屋の屋敷で、国の登録有形文化財に指定されています。100円の観覧料を払えば見学できます。


馬場家の敷地に、築100年以上の土蔵をリノベーションしたビアバー「KOBO Brew Pub」を発見。汗ダラダラだったのでビールはうれしい! お店の中央にはどっしりとした醸造設備が据えられています。メニューには白ビールや黒ビール、ラガーなど10種類のクラフトビールが並び、決められなかったので、ビール4種のテイスティングセット(1400円)にしました。


馬場ヴァイツェンは、富山の呉羽梨を使った香り高い白ビールで、フルーティー。アルコール度数も4.3%と低めで飲みやすく、圧倒的に好みでした。コーヒースタウトは本当にコーヒーみたいだった。まあコーヒーの代わりってことで。暑い日のビールは全部汗で流れるからどんどん飲んじゃいました。ちなみにこちらの営業時間は11:00〜18:00なので、昼飲み専用ですね。
DATA
KOBO Brew Pub
住所:富山県富山市東岩瀬町107-2
アクセス:富岩水上ライン岩瀬カナル会館乗船場より徒歩約9分
昼飲みしたかった店がもう1軒あります。

富山の日本酒「満寿泉」の蔵元が運営する、立ち飲み処「沙石」です。店内に入ると大きな一枚板のヒノキのカウンターがどーんとあり、ケースには約100種類の日本酒が並びます。想像以上の規模でビックリでした。


料金システムは3つ。Aコースは、木桝を250円で購入し、飲んだ分(1杯200〜600円)だけ支払う。B-1コースは、15分1500円、B-2コースは、30分3000円の時間制限付き(目安はおちょこ8杯と15杯)。Bコースはミネラルウォーター付き。
私は15分のB-1コースにおつまみセット(300円)を追加。

ストップウォッチを押したら唎酒開始! 冷蔵ケースに突進して四合瓶をつかみ、カウンターに戻ります。スタッフの方に事前に説明してもらっていたので、ある程度あたりをつけていたとはいえ、迷ってしまう。でも迷う時間がもったいない。

1杯目に選んだのは「沙石オリジナルToyamaJapan」(3850円)。うまい! うますぎる。なんたって富山県産山田錦を使った純米大吟醸ですものね。駆け足で「Bo」(4070円)、「純米大吟醸満寿泉」(5280円)、「大吟醸 寿」(7260円)、「純米大吟醸 寿 プラチナ」(8470円)「R-KIMOTO」(1万1000円)、「富山県産山田錦」(2200円)、「Green生ワイン酵母使用」(2310円)、「GREEN純米絞り(生)」(非売品)、「Green純米酒ワイン酵母酸味あり」(2200円)を飲んだ!(写真は割愛)
あれ、数えたら、10杯も飲んでる……! 説明書きに「上限8杯程度でお願いします」って書いてあったのに……。ごめんなさい。

私はこれまで純米大吟醸とか大吟醸の高い日本酒のほうが好きだと思ってたのですが、一番好みだったのは、「Green純米酒ワイン酵母使用」でした。7000円より2000円の日本酒のほうが好きだったなんて。
そしておつまみセットのほたるいか、白えび、ビーフジャーキーはお土産でも買えます。めちゃめちゃ悩んだ結果、785円の「ほたるいか素干し」とオリジナルお猪口、満寿泉吟醸からくち180mlがセットになった1200円のセットを買いました。ほたるいか素干し、これまで食べた中でピカイチです。やわらかい食感とワタの苦味がたまらん。ちなみに娘に1つあげたら「しょっぱい」と顔をしかめてました。酒飲みのつまみなので、娘ちゃん、あんたの舌は正しい。

DATA
桝田酒造店 沙石
住所:富山県富山市東岩瀬町93番地
HP:https://www.instagram.com/masuizumi.saseki/
アクセス:富岩水上ライン岩瀬カナル会館乗船場より徒歩約7分
富岩水上ラインでチケットを買った際、路面電車の片道乗車券がついてきたので、帰りはそのルートで帰ります。沙石から徒歩10分ほどの場所に「競輪場前」という富山地方鉄道富山港線の駅があり、富山駅までは30分程度です。すぐ隣に車が走ってるのが不思議な感覚でした。
富岩水上ライン、想像の何倍も楽しかった。ガイドさんの説明で、富山の歴史がまるっとわかります。水上ラインで岩瀬に行って路面電車で帰る――、最高のルートです。
昼間っからクラフトビールと日本酒をたらふく飲んで胃腸薬で締める、実に富山らしい旅でした。自己採点でほぼ満点!





































