
突然ですがみなさん、「和牛」と「国産牛」の違いって知っていますか? 私もつい最近知ったのですけど、「和牛」は日本固有種の牛で、「国産牛」は、品種に関わらず(つまり外国生まれでも)、日本国内での飼育期間が最も長い牛肉の総称なんですって。そして和牛には、「黒毛和牛」「褐毛和牛」「日本短角牛」「無角和牛」の4種類がいます。
ここ岩手町は、日本短角牛(以下、短角牛)の発祥の地ともいわれる一大産地。黒毛和牛とは違い、赤身のおいしさが魅力の牛肉です。和牛と言えば「黒毛和牛」というイメージを持っている方も多いと思いますが、それもそのはず。実は日本で流通している和牛のうち、短角牛はたった1%以下。その希少な牛肉を、焼肉はもちろん、ハンバーグや生ハムなどの加工品としても、とことん味わえるのが岩手町なんです。
もちろん、キャベツの産地としても有名ですから、キャベツを使ったスイーツがあったり、さらには、元力士が営むちゃんこ料理店でお相撲さん直伝の“ご飯が止まらない”力士味噌まで堪能できる岩手町の旅で、私の胃袋は大忙しでした。


大変失礼な物言いになるのを承知で書きますが、正直なところ、出かける前までは岩手町のグルメに対してそれほど期待していなかったのです、私。しかし、一度訪れた今となっては、出かける前の自分に延々と説教したいくらいに岩手町にハマってます。こんなにも、こんなにもおいしい土地柄だったとは! 今回は、私が出会った、意外と知られていない、もっと全国的に知られてもいいと思った岩手町の絶品グルメをまとめてご紹介します!
つなぐ旅編集部が実際に東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は岩手県岩手町の旅の様子をお届けします! (観光編はこちら)
創業50年以上の焼肉店「まるみや」でランチ
いわて沼宮内駅から徒歩1分という好立地にある、創業50年以上の焼肉店「まるみや」。

こちらは焼肉と冷麺のセットがないとのことなので、まずは単品で肉をオーダー。おすすめはカルビだそうです。


年齢とともにカルビが苦手になってしまったのですが、こちらのカルビは脂がしつこくなくて、驚くほどおいしかったです。これなら何枚でも食べられる。
そして岩手県の焼肉屋さんといえば冷麺が有名なのです。わさび冷麺や担々冷麺など気になるメニューがいろいろあってすごく迷いました。わさびに後ろ髪を引かれつつ、お店の方に勧められた「温麺」(980円)をオーダー。やっぱりこちらは温かい麺が主流なのかと妙に納得。

驚いたのが、麺が丸いこと。冷麺と同じ麺を使っているそうなのですが、私のイメージする冷麺の麺は、もっと角ばっていて硬いもの。こちらはつるっとしていて、ほどよいコシがあります。しっかりと辛い温麺でした。
DATA
まるみや
住所:岩手県岩手郡岩手町江刈内第7-34-9
HP:https://marumiya-iwate.com/
アクセス:いわて沼宮内駅より徒歩約1分
銘菓「東雲」の丸中で、キャベツのシュークリーム
固めのお餅にくるみとごまが入った「東雲(しののめ)」というお菓子を過去に買ったことがあるのですが、それが岩手町のお菓子だとは知りませんでした。その東雲を作っているメーカーが「丸中」です。これはもう本店に行くっきゃない。

なんとこちらではイートインもできます。ビックリしたのは、地元に愛されるケーキ屋さんだったこと。てっきり和菓子屋さんのイメージでした。


店内のショーケースで見つけたのが、岩手町産キャベツを使ったシュークリーム「キャベツ愛」(260円)。ここにもキャベツ! 食べるしかないですね……いえため息なんてついてませんよ。もう1つ気になったのが、シャインマスカットのクリームがのった「カプリス〜シャインマスカット〜」(490円)。2人でシェアします。

シュークリームの中は緑色のクリーム。食べてビックリ。キャベツがごろっと入っていて、しっかり舌に感じます。香りも味も完全にキャベツ。なんなら皮もキャベツ味。意外だけどおいしかった。キャベツ味をうたうならここまで徹底してほしい。

季節でフルーツが変わるという「カプリス」は、生クリームが甘すぎず、爽やかでした。スポンジは見た目と違ってめちゃめちゃふんわりしてた。
和風マドレーヌ「手前みそ」が気になり、東雲2個も入った「山見の里セット」(540円)を購入。友人への配り土産として東雲20個入りも買っちゃいました。「手前みそ」はほのかな味噌の香りが新鮮でした。東雲は固めの食感とくるみとゴマがおいしくてパクパク食べちゃう。


DATA
山見の里 菓子司 丸中
住所:岩手県岩手郡岩手町沼宮内9-25
HP:https://www.55marunaka.jp/
アクセス:いわて沼宮内駅よりタクシーで約2分
創業50年の喫茶店で「短角牛ハンバーグ」
国道4号沿いにある「4号線サロンヴィラ 沼宮内店」へ。三角屋根のかわいらしい建物です。

中に入ると、壁一面に漫画がずらり。全巻読破したくなります。仕事でなければ、閉店まで居座っていたかもしれません。

1976年の開店から、今年で50年。オーナーの金井由道さんによると、もともとは群馬県出身のお父さまが、岩手で木材の仕事をするかたわら、趣味で始めたお店なんだそうです。パイプをくゆらせながらコーヒーを淹れるお父さまと、着物姿で手作りのパンを出すお母さま。「当時、このあたりでコーヒーを飲める店なんてなかったから、それだけでもう洒落ていた」と金井さん。
さて、今回のお目当ては、短角牛を使ったハンバーグ。短角牛を使い始めて、もう30年ほどになるそうです。当時は、霜降りのランクがつかない短角牛はなかなか評価されなかったのだとか。それが今では「ヘルシーな赤身」として注目される存在に。


ふわふわすぎず、しっかり肉々しい! 牛と豚の割合は8対2くらいだそうで、噛むほどに肉の旨みが広がります。継ぎ足しで作っているというデミグラスソースは甘めで、子どもから大人まで、みんなが好きな味。
そしてもうひとつの主役がコーヒー。オーナー自ら焙煎していて、売れる分だけ作って、なるべく新鮮な豆を出すのがこだわりだそう。これが本格的でおいしい! 「道の駅 石神の丘」でも豆を販売しているので、お土産にもおすすめです。実はこちらで売っていたクッキーもめちゃうまでした。
DATA
4号線サロンヴィラ 沼宮内店
住所:岩手県岩手郡岩手町沼宮内15-21-3
HP:http://villa123.jp/
アクセス:いわて沼宮内駅よりタクシーで約5分
元力士が営む「ちゃんこ料理 らく丸」
夜ご飯は、地元の方に教えてもらった、2026年5月にオープンしたばかりの「ちゃんこ料理 らく丸」へ。大将の高野剛さんは、元関脇・寺尾(先代錣山親方)が興した錣山部屋の元力士です。


ちゃんこのコース?と、小食の私は一瞬ひるみましたが(ここまでの食べっぷりは置いておいて)、いただいたのは「心」コース(5500円、2人前から要事前予約)。ちゃんこ鍋に、力士味噌とお野菜、お刺身の盛り合わせ、塩茹で枝豆、鶏の唐揚げ、出汁巻玉子、〆の麺、デザートまで付いています。

前菜で感動したのは、自家製「力士味噌」。白味噌に、ひき肉、かつお節、にんにく、しょうが、ネギを加えて、じっくり水分を飛ばしながら練り上げたそうです。

お相撲さんは、体を作るのも仕事のうち。お腹いっぱいになってもあと1杯ご飯を食べなきゃいけない……というときに、この味噌をご飯にのせて食べるんだそうです。そして最後はお茶漬けにしてもう1杯食べるんだとか。かつおがしっかり効いていて、ご飯にもお酒にも合う。好きな人は、この味噌だけで焼酎を飲むんだとか。ええ、わかります。

メインのちゃんこ鍋は、この日は塩。基本は塩・味噌・醤油の3種類で、ときどきトマトや酸辣湯(スーラータン)などの変わり種も登場するそうです。
「岩手町は野菜がおいしいから、それだけで(鍋が)おいしくなります」と大将。鶏肉は岩手の「あべどり」、豚肉は岩手県産の「やまと豚」。やまと豚100%、つなぎなしで作る小ぶりの肉団子は、ふわっとしておいしい!

「なんで岩手町でちゃんこ?」と不思議に思ったのですが、食べて納得。ちゃんこって野菜の味が引き立つ料理なんですね。

DATA
ちゃんこ料理 らく丸
住所:岩手県岩手郡岩手町沼宮内7-21
HP:https://www.instagram.com/chanko_rakumaru/
アクセス:いわて沼宮内駅よりタクシーで約2分
牛肉の生ハムを求めて「肉のふがね」へ
締めくくりは、岩手短角和牛を扱う「肉のふがね」。1965年に町の小さなお肉屋さんとして創業しましたが、今ではネット通販のほうが売り上げ比率が高いのだそうです。岩手町に2店舗ありますが、「岩手川口工場直営店」を訪ねました。


ふがねの看板商品は、短角牛のモモ肉を使った牛肉の生ハム「セシーナ」。セシーナとは、スペイン・レオン地方の伝統的な牛肉の加工品のこと。日本では「生ハム=豚」のイメージですが、ヨーロッパでは牛の生ハムも一般的なんだそうです。代表の府金伸治さんがスペインで生ハムの製造現場を見て作り方を学び、スペインの産地と気候が似ている(どちらも北緯40度あたり)岩手町で熟成を始めたのが最初だとか。

試食させていただいた「セシーナ」は、熟成12カ月のもの。口の中でとろけるような柔らかさ。24カ月になると塩の角が取れてまろやかに、36カ月ものは「噛んだ瞬間に肉の味と香りがして、そのあとふわっと、牛が食べてきた牧草の香りがする」のだそう。いつか食べてみたい!
実はこのセシーナ、テレビで紹介されたとたんに注文が殺到して品切れに。1年以上熟成しないと出荷できないので、今から作っても店頭に並ぶのは1年以上先なのだとか。残念ながら、私が来るのを待っていてはくれませんでした(笑)。というわけで、今回は試食だけ。次の熟成分は11月末ごろから出始めるそうです。

代わりに買ったのが、熟成12カ月のセシーナの切り落としをオイル漬けにしたもの(50g、1800円)。こちらは直営店限定の商品です。グレープシードオイルだからか、油のくどさはなかったです。牛の生ハムって濃厚なので一口でも満足度が高い。

もうひとつ、こちらでお土産に買ったのが「岩手短角和牛やわらか煮弁当」。たっぷりの牛肉ときんぴらごぼうの二段重ねです。


家に帰ってから食べたら、子どもたちがすっかり気に入って、3人で奪い合いに。冷めてもお肉が柔らかいのは、きっとお肉の切り方を考えているからに違いない。2個、いや3個買えばよかった……。
DATA
肉のふがね 岩手川口工場直営店
住所:岩手県岩手郡岩手町大字川口5-9-1
HP:https://nikunofugane.com/
アクセス:いわて沼宮内駅よりタクシーで約6分
短角牛にちゃんこにセシーナ。岩手町は、知らなかったのがもったいないくらい、食べる楽しみがぎゅっと詰まった町でした。毎年10月初旬の3日間にわたって行われる「岩手町秋まつり」にあわせて来年行きたいと、今から思いを馳せてます。





































